看護師1年目の時、寝たきりだけれど口腔ケアをするとモグモグとする患者さんの様子を見て、「自分に何かできることはないのか、口腔ケアが何かきっかけになるのではないか?」と摂食嚥下、口腔ケアに関心を持ち始め、研修に頻繁に参加し医師の許可を得て実践をしていました。その後、院内に嚥下チームが立ち上がり、リーダーとして活動している中で、独学だけではなく根拠を持って患者さんやスタッフに関われるようになりたいと思い目指しました。
解剖・病態生理や神経・筋、そして小児から高齢者、重症心身障害児(者)についてなど深く勉強することになりすごく大変でしたが、好きな嚥下のことがわかってくると何だか楽しく学べました。勉強尽くしの濃い半年間でしたが、臨床現場から離れ改めて自分の看護を振り返り、自分が求める看護について考える機会になり貴重な時間でした。
嚥下機能低下が疑われる患者さんの嚥下評価や食事形態の検討や口腔内状態の評価などを行っています。経口摂取が困難な患者さんの口腔機能や全身状態を随時アセスメントしながら関わることで経口摂取が可能となりADLも拡大し、さらに発語も笑顔も増えていく様子を見るとすごく嬉しくなります。また食事の工夫が必要な状態で退院される場合には管理栄養士と相談し指導をしています。
食べることは楽しみの一つであり、また食べることは生きる活力ともなります。食べたい希望を持っている患者さんが食べられない人生に向かう判断はできるだけ避けたいと思っています。本人の希望するものを提供することは困難でも、少しでも長く食べる楽しみを続けられるように慎重に根気強く関わっていきたいなと思います。