小児病棟に勤務して6年目に受け持ちをした、子どもと家族との出会いがきっかけです。子どもにとって初めての入院であり、母親の不安が強いため付き添いをしていました。診断が確定して治療を開始するという時に、母親が付き添いをしていたことできょうだいが精神的に不安定になってしまい、母親の不安な思いを残したまま付き添いを中止することになりました。このことが、自分は子どもとその家族に本当に寄り添った看護ができていたのだろうかと、振り返るきっかけになりました。
また、小児領域は入院期間が短縮されてきているため、限られた時間の中で入院中の子どもと家族にとって必要な支援とケアを提供できるようになりたいとも考えていました。自分自身の看護を振り返り、子どもと家族にとって最善の療養環境を整え、家族支援の在り方について知識を深めたいと思い認定看護師を目指しました。
子どもの発達や病態生理などを改めて学び直しながら、子どもや家族の立場に立って必要なケアを考える勉強をしました。今まで関わる機会がなかった疾患も多く、病態生理や看護についての勉強は大変でした。学校での授業内容は実践に沿ったものだったので、子どもの病態を捉え、子どもを看護する上で何が必要か考えることを学び、今の仕事にも役立っています。
現場の人数が減ると業務が大変になるにも関わらず、上司や同僚スタッフは笑顔で「頑張って」と学校に行くことを応援してくれました。病院が自己啓発援助制度で学費のサポートをしてくれたこともありがたかったです。
学んできたことを活かして、子どもとその家族への検査説明や介助、家庭での子どもの見方の指導など、家族が子どもを安心して看病できるように支援しています。子どもの不慮の事故への予防指導、育児力向上のための1カ月健診での育児相談も行っています。家族とのコミュニケーションを大切にしながら、子どもとその家族の全体像を捉え、必要なことは何か考えながら看護をすることを心掛けています。受診した子どもや家族が笑顔で帰っていく姿や、「話ができて良かった」と言ってもらえることがやりがいにつながっています。
地域の子どもたちやその家族に寄り添い、子どもの権利を擁護し、健やかな成長発達のために家族も含めた支援を実践していきたいと思います。少子化傾向のもと、小児病棟は減少していますが、当院は小児救急拠点病院として地域の子どもや家族が安心して受診し入院できる、小児単科での病棟を有しています。未来ある子どもたちのために一緒に考え、子どもとその家族に寄り添う看護をしていきましょう。