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前立腺肥大症の新しい治療


前立腺肥大症に対する手術療法

前立腺は男性にしかない生殖器の一つで、精液の一部を作るはたらきをしています。尿道を取り囲むような形になっているため、前立腺が大きくなると尿道が圧迫され、様々な排尿障害をもたらします。これが前立腺肥大症です。

初期段階の治療としては、まずは薬物療法を用いますが、望ましい改善が見られない場合には手術療法の適応となります。今日、日本で主に行われている前立腺肥大症に対する手術療法は、大きく分けて以下の3つが挙げられます。

①切除

TURP

②核出

Holep/TUEB

③蒸散

PVP/ThuVa/CVP/TUVP

当院では、これまで経尿道的前立腺切除術(TURP)と呼ばれる①の手術を主に行ってまいりましたが、2022年7月より、接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)と呼ばれる③の手術ができるようになりました。これにより、手術件数も2020年度の5件から、2022年度(~2022年12月31日まで)は20件に増加しています。

前立腺レーザー手術の実績とトピックはこちら

各手術療法の特徴

①切除術

切除法は前立腺の内腺から挿入して電気メスで腺腫を削り取り、切除部位からの出血を凝固・止血するという手技となります。

みかんで例えると、果肉をむしり取るような除去方法ですので、果汁、すなわち出血量が多くなるため、合併症が危惧されます。また、前立腺の大きい症例では手技の難易度が高くなることや、術後尿道狭窄が生じるリスクがあることなどが報告されています。

②核出術

核出術は、外腺と内腺の間から患部にアプローチし、レーザーを用いて前立腺を取り除く手技です。

核出術では切除術のような出血は改善されていますが、手技的に括約筋付近からのアプローチとなるので、括約筋損傷による尿失禁のリスクが生じます。また、切除術同様尿道へのダメージが大きくなり、こちらも術後の尿道狭窄を生じることがあります。

③蒸散術

蒸散術は内腺からアプローチし、高エネルギーのレーザーを用いて前立腺を蒸発させる術式です。

蒸散術は内腺からのアプローチであるために括約筋を温存することができます。また、細径の内視鏡を小さな操作範囲で使用するため、尿道への負荷を最小限にして手技が行なえるため、尿失禁や尿道狭窄などの不可逆的な合併症発生を低減することが可能です。


接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)

当院で行っている接触式レーザー前立腺蒸散術(CVP)は、日本では2016年に承認・開始された非常に新しい術式です。

国内において実施可能な医療機関はまだあまり多くなく、当院は神奈川県内でも数少ない手術可能施設となっており、各種学会等でも積極的な情報発信を行っています。

(2022年12月現在)

CVP手術の特徴

1.術後の合併症が少ない
従来法に比べて出血のリスクが低く、手術終盤に回収する検体も無いため、従来法と比べてより安心な術式です。

2.手術時間・入院期間が短い
CVPは手術の工数自体が従来法よりも少なく、かつ、機材の操作性も優れていることから、手術時間の短縮につながります。また、海外では日帰り手術が可能な国もあるほど低侵襲で、入院治療の期間を短くすることが可能です。

3.手術費用は従来の術式とほぼ変わらない
患者さんの負担は従来法と大差ありません。

CVP手術の流れ

①内視鏡挿入
尿道から挿入した内視鏡を通し、レーザーファイバーで前立腺にアプローチします。

②レーザー照射
ファイバー先端から高エネルギーのレーザーを照射し、組織を加熱・蒸散させます。

③手術終了
CVP後は滑らかな蒸散面となり、大きな空洞を形成することが可能になります。

(手術時間:約60~90分)

入院について

現在のところ、当院におけるCVP治療の入院期間は、術後の経過に問題が無ければ4泊5日となっています。

退院後も一定期間ごとに外来にてフォローを行い、問題が無ければ3回目(退院後6ヶ月)の診察で終診となります。

今後一層の入院期間の短縮化も検討しています。

その他

前立腺肥大症についてより詳しく知りたい方は、下記サイトも併せてご参照ください。当院名も掲載されています。