婦人科がん
子宮頸がんについて
子宮は、子宮頸部と子宮体部に大きく分かれます。子宮頸部から発生するがんを、子宮頸がんと呼びます。患者数も死亡数も増加傾向にあるがんで、発症のピークも30代後半と他のがんに比べ若くなっています。
子宮頸がんにはいくつかのタイプがありますが、最も多い「扁平上皮がん」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染により、「異形成」と呼ばれる前がん段階を経てがんが発生することが明らかになっています。そのため、HPVワクチンの投与と、子宮頸がん検診により異形成の段階で発見し治療するという2段階での「予防」が推奨されています。
異形成の段階や、初期の状態では何も症状がないことも多いがんですが、進行してきた場合は不正性器出血やむくみなどが症状として現れることがあります。治療は、がんの進行の程度により、手術療法や放射線、化学療法が選択されます。
子宮頸がんにはいくつかのタイプがありますが、最も多い「扁平上皮がん」は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染により、「異形成」と呼ばれる前がん段階を経てがんが発生することが明らかになっています。そのため、HPVワクチンの投与と、子宮頸がん検診により異形成の段階で発見し治療するという2段階での「予防」が推奨されています。
異形成の段階や、初期の状態では何も症状がないことも多いがんですが、進行してきた場合は不正性器出血やむくみなどが症状として現れることがあります。治療は、がんの進行の程度により、手術療法や放射線、化学療法が選択されます。
子宮体がんについて
子宮体がんは、子宮内膜と呼ばれる部分から発生することが多く、初期の段階から自覚症状として不正性器出血が多く出現します。しかしながら、発症のピークが閉経前後の40代後半から50-60代に認められるため、月経不順との区別がつかず受診が遅れる場合も多くあります。
子宮体がんには様々なタイプがありますが、もともと月経不順があった場合や、肥満・高血圧・糖尿病を合併する場合、妊娠・出産の回数が少ない場合などが最も多いタイプのリスク因子と考えられており、特にそのような既往がある方で不正出血が続く場合は、早めの受診が必要です。
治療は、手術療法が基本となることが多く、初期がんの場合には、腹腔鏡手術が適応になる場合もあります。進行の程度により、化学療法が選択される場合もあります。
子宮体がんには様々なタイプがありますが、もともと月経不順があった場合や、肥満・高血圧・糖尿病を合併する場合、妊娠・出産の回数が少ない場合などが最も多いタイプのリスク因子と考えられており、特にそのような既往がある方で不正出血が続く場合は、早めの受診が必要です。
治療は、手術療法が基本となることが多く、初期がんの場合には、腹腔鏡手術が適応になる場合もあります。進行の程度により、化学療法が選択される場合もあります。
卵巣がんについて
卵巣には様々な種類の腫瘍が発生します。子宮の左右にそれぞれ1つずつありますが、もともと閉経前で2-4cm、閉経後では1-3cmと非常に小さい臓器のため、腫瘍が発生しても初期に症状がでることはほとんどありません。
子宮がんと異なり、体の外とつながっている部分がないため、確定診断のためには手術で摘出することで確定診断がつく場合が多く認められます。
手術に加え、化学療法による治療を要することが多く、がんの種類によってどの化学療法を選択するか決定していきます。
子宮がんと異なり、体の外とつながっている部分がないため、確定診断のためには手術で摘出することで確定診断がつく場合が多く認められます。
手術に加え、化学療法による治療を要することが多く、がんの種類によってどの化学療法を選択するか決定していきます。
さいごに
南部病院では、子宮頸がん、体がん、卵巣がんなど、どのような疾患でも、どのステージの患者さんにも対応しています。広汎子宮全摘などの手術や、子宮体がんⅠA期には腹腔鏡下での子宮全摘も実施しています。これらの治療の選択にあたっては、ご本人ご家族と十分に話し合ったうえで決定していきますが、あくまでガイドラインに則った標準治療を提案し行っていきます。
Q&A
治療を行なうことで、仕事や日常生活への影響はどの程度考えられますか?
婦人科がんはその多くが「働き盛りの」女性に発症します。そのため病気自体の心配と同時に、職場や家庭内での役割が全う出来るか、さらに女性としての生活が取り戻せるか、等々不安もあります。
婦人科がんの治療の3本柱である手術療法、化学療法(いわゆる抗がん剤)、放射線療法、それぞれの副作用・副障害がありますが、それさえクリアできれば大丈夫。治療前の生活と同様のスタイルが可能な場合がほとんどです。
その中で女性特有の問題としては、卵巣機能が失われる可能性があること。それにより更年期症状が顕性化したり、骨密度が低下する骨粗鬆症になったりする可能性があります。そのため食事には、より注意してカルシウムやビタミンDを摂取するように心がけてください。適度な運動も必要です。性生活に関しては、卵巣機能が失われることにより腟の潤いが低下したり、広汎子宮全摘術により腟が短縮したり、放射線療法によって腟が硬くなったりすることはありますが、ゼリーを使用したりすることなどで対応できると思います。
ただ子宮や卵巣は女性にとってのアイデンティティとして非常に大切なもの、それを失った喪失感は計り知れないものでしょう。それを埋める方法として、「キャンサー(ズ) ギフト」という考え方もあります。これは人によって様々ですが、がんになったことで、周りの人のやさしさが見えたり、一日一日の大切さを知ったり・・・。今回がんになったからこそ得られた経験、価値観を前向きにとらえる考え方です。このような考え方のあることも知っておくとよいかもしれません。
婦人科がんの治療の3本柱である手術療法、化学療法(いわゆる抗がん剤)、放射線療法、それぞれの副作用・副障害がありますが、それさえクリアできれば大丈夫。治療前の生活と同様のスタイルが可能な場合がほとんどです。
その中で女性特有の問題としては、卵巣機能が失われる可能性があること。それにより更年期症状が顕性化したり、骨密度が低下する骨粗鬆症になったりする可能性があります。そのため食事には、より注意してカルシウムやビタミンDを摂取するように心がけてください。適度な運動も必要です。性生活に関しては、卵巣機能が失われることにより腟の潤いが低下したり、広汎子宮全摘術により腟が短縮したり、放射線療法によって腟が硬くなったりすることはありますが、ゼリーを使用したりすることなどで対応できると思います。
ただ子宮や卵巣は女性にとってのアイデンティティとして非常に大切なもの、それを失った喪失感は計り知れないものでしょう。それを埋める方法として、「キャンサー(ズ) ギフト」という考え方もあります。これは人によって様々ですが、がんになったことで、周りの人のやさしさが見えたり、一日一日の大切さを知ったり・・・。今回がんになったからこそ得られた経験、価値観を前向きにとらえる考え方です。このような考え方のあることも知っておくとよいかもしれません。
治療には入院が必要ですか?必要ならば、どれくらいの期間ですか?
婦人科がんの治療ですが、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん、またそれぞれ進行度により様々です。
手術療法であれば1泊(2日間)入院の円錐切除や、4泊(5日間)入院の腹腔鏡下手術、10日ほど入院を要する開腹手術などがあります。円錐切除であれば術後翌日には「仕事」に復帰できると思います。腹腔鏡手術では、あくまでそれぞれの人によりますが、退院後2~3日で、開腹手術でも退院後3~4日で復帰可能です。
化学療法といっても実際にはいろいろな「抗がん剤」があり、その投与方法も様々です。ただいずれにしても基本的には外来通院で実施しています。「仕事」との両立も可能です。
手術療法であれば1泊(2日間)入院の円錐切除や、4泊(5日間)入院の腹腔鏡下手術、10日ほど入院を要する開腹手術などがあります。円錐切除であれば術後翌日には「仕事」に復帰できると思います。腹腔鏡手術では、あくまでそれぞれの人によりますが、退院後2~3日で、開腹手術でも退院後3~4日で復帰可能です。
化学療法といっても実際にはいろいろな「抗がん剤」があり、その投与方法も様々です。ただいずれにしても基本的には外来通院で実施しています。「仕事」との両立も可能です。