神経内科

神経内科とは

中江 啓晴医師

神経内科は脳や脊髄、神経、筋肉などの病気をみる内科です。一般的な病気から難病まで幅広い疾患を診療の対象としています。対象となる疾患をあげると専門的なものも多く分かりにくくなってしまいがちですが、対象とする症状は一般の方にもわかりやすい症状です。具体的には
ぼうっとしている、呼びかけても反応がない、言葉がでてこない、
ものの名前がでてこない、字が書けなくなった、物忘れをするようになった、おかしなことを言うようになった 視野がかける、物が二重に見える、まぶたが下がる、顔がまがった、
ろれつが回らない、しゃべりにくい、水分や食事がうまく飲み込めない、むせる、手足の力が入らない、手足がふるえる、手足が勝手に動く、手足がつっぱる、ふらふらする、動きがにぶくなった、よく転ぶ、歩けない、けいれんする、手足がひどくやせてきた、感覚がにぶい、しびれる、頭痛、めまい
などの症状となります。これらの症状がある場合に診察、検査を行うことで病気の診断をして、治療を行います。診断の結果によっては神経内科での診療を継続するのではなく、整形外科、脳神経外科、精神科、その他の内科など他の適切な診療科をご紹介することになります。

当院神経内科の特徴

当院の神経内科は神経内科疾患全般に対する診断・治療を行っております。その中でも特徴的なものが以下のものになります。

  1. 脳梗塞を中心とした脳血管障害の治療
    超急性期脳梗塞に対する血栓溶解療法(rt-PA静注療法)を積極的に行っています。2015年度の施行件数は10件であったのに対して、2016年度には19件とほぼ倍増しています。脳梗塞入院患者さんのうちの11%に施行されている計算となります。また脳卒中後の回復にはリハビリテーションが必要となることが多いのですが、脳卒中地域連携パスの使用を積極的に推進し、近隣の回復期リハビリテーション病院を経由しての患者さんの自宅退院、社会復帰を進めています。
  2. パーキンソン病の診断と治療
    パーキンソン病は人口の高齢化とともに増加しており、診断、治療が難しいこともある神経難病の一つです。当科では神経学的診察に加えて脳MRI、MIBG心筋シンチグラフィー、123I-イオフルパンSPECT(ダットスキャン®)などの画像検査を行うことで適切な診断と治療を行えます。
  3. 神経免疫疾患の診断と治療
    多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)、多巣性運動ニューロパチーなどは発症に免疫学的機序が関与しており、神経免疫疾患と言われます。当科では神経免疫疾患の診断、治療を積極的に行っております。多発性硬化症に対する治療効果が非常に高いとされるナタリズマブ点滴治療は、当院は神奈川県内の病院の中では4番目に導入しています。
  4. てんかんの診断と治療
    てんかんの診断、てんかん重積時の治療、難治性てんかんの内服薬のコントロールまで幅広いてんかん診療を行っております。当院神経内科はてんかん診療ネットワーク(ECN-Japan)に二次診療以上が可能な施設として登録されております。
  5. ボツリヌス治療
    外来では眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸、脳卒中後の上肢痙縮・下肢痙縮に対するボツリヌス治療を積極的に行っております。ボツリヌス治療はボツリヌス毒素を使用して行う治療ですが、当院は規模の大きい病院であり、安全に施行することができます。
  6. 認知症の診断
    詳細な診察と画像検査を用いて認知症の診断を行っております。なお、認知症患者さんの数は非常に多いため、診断がついて治療方針が決定した後での治療は、原則として当科ではなくかかりつけの先生にご紹介させて頂いております。ご了承下さい。
  7. 頭痛の診断と治療
    慢性頭痛は治療に難渋することも少なくない疾患です。外来では通常の頭痛診療に加えて頭痛専門医かつ漢方専門医による頭痛の漢方診療も行っています。
  8. 難病患者さんのレスパイト入院
    横浜市の難病患者一時入院事業によるレスパイト入院の受け入れを行っております。2016年度に受け入れました患者さんの原疾患はパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、急性散在性脳脊髄炎後遺症でした。

施設認定

  • 日本神経学会准教育施設
  • 日本脳卒中学会認定研修教育病院
  • 日本認知症学会専門医教育施設
  • 日本東洋医学会指定研修施設

診療体制

再診外来と新患外来で診療を行っています。再診外来でも病気の性質上診療に時間がかかる場合がございます。予約時間よりもお待たせしてしまうことがございますが、ご理解下さい。
初診受付は平日8:30から11:00(初診は月・水・木・金曜日のみ診療、火曜日は行っておりません)です。紹介外来制をとっており、初診時には紹介状が必要です。受診の際には、現在服用中のお薬やお薬手帳などをお持ちください。紹介予約制度が利用できますが、混雑のためお待たせしてしまう場合があります。時間に余裕をもってお越しください。

外来担当

 
初診
(午前)
中江 啓晴   吉田 環 中江 啓晴 吉田 環
再診 吉田 環
(午前)
中江 啓晴
(午前)
中江 啓晴
(午前)
吉田 環
(午前)
古谷 正幸
(午前)
再診   土井 宏
(午後)
    川口 優花
(午後)

再診受付:8:30〜11:30

※土曜日は、第1・第3初診のみ交代制となります

スタッフ紹介

医師名 職位 専門分野 専門医資格等
中江 啓晴 主任部長代行 神経内科
漢方医学
日本内科学会総合内科専門医・内科指導医
日本神経学会神経内科専門医・指導医
日本脳卒中学会脳卒中専門医
日本東洋医学会漢方専門医・指導医
日本認知症学会認知症専門医・指導医
日本頭痛学会頭痛専門医・指導医
医学博士
吉田 環 副部長 神経内科 日本内科学会認定医
日本神経学会専門医
古谷 正幸 医員 神経内科  
川口 優花 医員 神経内科  
土井 宏 非常勤 神経内科  

対象疾患

当科での診療対象となる疾患は以下の通りです。これらの疾患は診断が難しいことが多く、すぐに診断がつかない場合もあります。

  1. 脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血などの脳血管障害
  2. パーキンソン病、脊髄小脳変性症、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核症候群、筋委縮性側索硬化症などの神経変性疾患
  3. 多発性硬化症などの中枢性脱髄疾患
  4. 重症筋無力症などの神経筋接合部疾患
  5. ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)、多巣性運動ニューロパチーなどの末梢神経障害
  6. 多発筋炎、皮膚筋炎、封入体筋炎、筋ジストロフィーなどの筋疾患
  7. 髄膜炎、脳炎などの神経感染症
  8. てんかん
  9. 脳卒中後の上肢痙縮・下肢痙縮
  10. 眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸
  11. アルツハイマー病、脳血管性認知症、レビー小体型認知症などの認知症
  12. 片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などの一次性頭痛
  13. めまい

これらのうちいくつかの疾患についてその詳細をご説明します。

脳血管障害(脳卒中)

脳卒中は1960年代までは我が国の死因の第1位でした。現在はがん、心不全、肺炎についで第4位となっていますが、寝たきりとなる最大の原因であり、その40%を占めています。脳卒中には脳梗塞、一過性脳虚血発作、脳出血、クモ膜下出血があり、そのうち脳梗塞が全体の7割を占めるとされています。
脳梗塞は脳の血管が閉塞し、脳が虚血状態になる疾患です。脳は虚血に非常に弱い組織であり、脳梗塞の治療は時間との勝負になります。本邦では発症から4.5時間以内の患者さんに対する血栓溶解療法(rt-PA静注療法)が認可されています。血栓溶解療法を行わない通常の治療のみの場合、脳梗塞患者さんが発症3か月後にほぼ無症状まで改善する割合は26%ですが、血栓溶解療法を行った場合には39%にまで上昇すると言われています。顔の片側が動かない、手の動きが悪くなった、ろれつが回らず言葉がでにくいなどの脳卒中を疑う症状が急に出現した場合は、救急車を要請しただちに受診するようにして下さい。
一過性脳虚血発作は顔の片側が動かない、手の動きが悪くなった、ろれつが回らず言葉がでにくいなどの脳卒中を疑う症状が出現したものの、1時間以内程度に回復するものをさします。症状が改善してしまうので問題ないと考えてしまう方もいますが、一過性脳虚血発作を起こした方の12%が発症1週間以内に脳梗塞を発症すると言われています。脳卒中を疑う症状が出現した場合、短時間で症状が回復したとしても一度は病院を受診する必要があります。
脳卒中発症の危険因子としては高血圧、糖尿病、脂質異常症、不整脈(心房細動)、喫煙、加齢などがあります。これらの治療を普段から適切に行っておくことで、脳卒中を予防できる可能性が高くなります。日頃からの健康管理が重要です。

パーキンソン病

パーキンソン病は人口の高齢化とともに増加しており、診断が難しいこともある神経難病の一つです。パーキンソン病の症状としては振戦(ふるえ)、筋強剛、無動(動きが遅い)、姿勢反射障害(バランスが悪くよく転ぶ)が有名です。診断には神経学的診察が必須かつ有用ですが、近年は画像検査が発達してきており、脳MRI、MIBG心筋シンチグラフィー、123I-イオフルパンSPECT(ダットスキャン®)などが行われるようになっています。最新のパーキンソン病の診断基準では123I-イオフルパンSPECT(ダットスキャン®)が取り入れられています。
当院で施行したMIBG心筋シンチグラフィー、123I-イオフルパンSPECT(ダットスキャン®)をお示しします。パーキンソン病患者さんでは異常を認めますが、本態性振戦(ふるえのみを来す疾患でパーキンソン病とは異なります)患者さんでは異常を認めません(図1)。両者は同じふるえを来す疾患ですが、このような画像検査を行うことで鑑別しやすくなります。

図1。パーキンソン病と本態性振戦の画像検査。パーキンソン病(上図)では心筋MIBGシンチグラフィー(左図)では心臓での集積低下、DaTSCAN(右図)では線条体での取り込み低下を認めます。本態性振戦(下図)ではこれらの検査で異常をみとめません。

多発性硬化症

多発性硬化症は脳、脊髄、視神経が障害される原因不明の疾患です。脱髄病変が空間的に多発し、時間的に再発と寛解を繰り返すことから多発性硬化症と名付けられました。もともとは欧米で多い疾患でしたが、近年は本邦でも増加傾向です。症状は視力障害、手足の麻痺、運動失調、感覚障害、排尿障害、認知機能の障害と多種多様です。診断にはMRIや髄液検査が有用です。当院で施行した多発性硬化症患者さんの脳MRI画像をお示しします(図2)。再発時にはステロイドパルス療法が行われますが、寛解の維持、すなわち症状が落ち着いているときの再発予防の治療が非常に重要です。近年は多くの薬が使用可能となり、インターフェロンβ1b皮下注射、インターフェロンβ1a筋肉注射、グラチラマー塩酸塩皮下注射、フィンゴリモド内服、フマル酸ジメチル内服、ナタリズマブ点滴静注と治療の選択肢が増えてきています。

図2。多発性硬化症の脳MRI画像。本画像では灰色の部分が正常脳ですが、その内部に白色の部分がありそこが脱髄病変です。

てんかん

てんかんは脳の神経細胞が過剰に興奮することによって脳の異常な電気活動が起こる疾患です。小児の疾患と思われがちですが、20歳以下と65歳以上での発症が多いとされます。近年では人口の高齢化により高齢者のてんかんが大きな問題になっています。症状としてはけいれんのみならず、ぼうっとして呼びかけに反応しなくなる、ばたんと倒れる、体がぴくっと動くといったものなどがあります。認知症と誤診されてしまう場合もあります。診断には脳波検査が有用です。当院で施行したてんかん患者さんの脳波をお示しします(図3)。

図3。てんかんの脳波所見。図の中央に棘波(とがった波)と徐波(幅の広い波)を認めます。てんかんを示唆する所見です。

脳卒中後の上肢痙縮・下肢痙縮

脳卒中の後遺症により手に力が入ったまま曲がって固くなることや、足に力が入ったまま伸びて固くなることがあります。これらを痙縮と言います(図4)。ボツリヌス注射を行うことで筋肉を麻痺させてつっぱりを和らげることができます。上肢の場合はつっぱりがとれて他動的に動かしやすくなることで清拭などの介護がしやすくなります。また指をある程度伸ばすことができるようになるため。爪で皮膚に傷ができることを防げます。下肢の場合はつっぱって歩きにくい場合に、つっぱりがとれることで歩きやすくなります。上肢、下肢とも痛みがとれることもあります。

図4.脳卒中後の右上肢痙縮の見本です(当科スタッフによるデモ)。肘や手首が屈曲しています(右図)。指も屈曲して(左図)ひどい場合は爪が皮膚に食い込みます。

認知症

人口の高齢化に伴い認知症は世界中で増加しています。老化による物忘れでは、食事で何を食べたかを忘れてしまいますが、ヒントがあれば何を食べたかを思い出せますし、食事をしたことそのものを忘れることはありません。一方、認知症の場合は食事で何を食べたかをヒントがあっても思い出すことができず、さらには食事をした行為そのものを忘れてしまいます。認知症になるということは、単に物忘れをするようになるだけではなく、日常生活、社会生活に適応できなくなるということになります。
認知症の診断に最も重要なものは問診です。すなわちご家族が見た日常生活の様子を知ることが、認知症の診断に最も重要です。認知症では特徴的な記憶障害を認め、診断の役にたちます。
認知症の原因疾患としてはアルツハイマー病が最多であり、それに脳血管性認知症、レビー小体型認知症が続きます。アルツハイマー病では3-4分前の出来事を忘れてしまうことが特徴とされます。ものの名前が出てこない、衣服を上手に着ることができない、毎日歩いていた道であるにも関わらず迷子になってしまう、などの症状を合併します。妄想、うつ、無関心などの多彩な精神症状を高頻度に認めます。緩徐に進行し、発症から5~10年で死に至ります。脳血管性認知症は認知症と脳梗塞や脳出血などの脳血管障害があり、その両者に因果関係があることが重要です。特徴としては階段状に症状が悪化すること、構音障害や麻痺などの症状が合併することとされています。レビー小体型認知症では認知症に加えて、時間や日によってよびかけに対する反応が鈍くなり目を覚まさなくなるといった意識状態の変動、小さな虫や小動物や人などの幻視、動きのにぶさや転びやすさなどを合併します。画像検査は認知症の原因疾患の診断に役に立ちます。当院で施行した認知症患者さんの脳血流シンチグラフィーをお示しします(図5)。

図5.認知症の脳血流シンチグラフィー。青色の部分が相対的血流低下部位です。アルツハイマー病(上図)では後部帯状回などの血流低下を認めますが、レビー小体型認知症(下図)では後頭葉の血流低下を認めます。

片頭痛、緊張型頭痛

片頭痛の本邦での有病率は8.4%で、男女とも20-50歳代の働き盛りに多く、74%は日常生活に何らかの支障を来たしているとされます。緊張型頭痛は一次性頭痛の中で最も一般的にみられる頭痛であり、生涯有病率は30-78%と報告されています。これらの頭痛に対して一般的には鎮痛薬の頓服による治療が行われますが、鎮痛薬を1か月に15日以上(鎮痛薬の種類によっては10日以上)、3か月以上にわたって内服し続けることにより薬物乱用頭痛が引き起こされます。
日本神経学会・日本頭痛学会監修の「慢性頭痛の診療ガイドライン2013」には慢性頭痛診療の国際標準的な考え方が示されています。本ガイドラインは質問がありそれに答える形式で作成されていますが、その中に「漢方薬は有効か」という項目があります。その答えとして「頭痛に対しても各種の漢方薬が経験的に使用され、効果を示している」と記載されています。具体的に呉茱萸湯(ごしゅゆとう)、桂枝人参湯(けいしにんじんとう)、釣藤散(ちょうとうさん)、葛根湯(かっこんとう)、五苓散(ごれいさん)の5処方が挙げられており、呉茱萸湯は片頭痛、緊張型頭痛(特に片頭痛)、桂枝人参湯は片頭痛と緊張型頭痛、釣藤散は片頭痛と緊張型頭痛(特に緊張型頭痛)、葛根湯は緊張型頭痛、五苓散は血液透析に伴う頭痛に有効と記載されています。これらの処方が無効な患者さんや効果不十分な患者さんもいますので、これだけで全ての患者さんを治療できるわけではありません。専門的な漢方医学的アプローチを行い、これらよりも多くの処方から適切な処方を選択することで、薬物乱用頭痛を予防しつつより高い治療効果を期待できます。なお、漢方薬は最近ではエキス製剤という顆粒状のものがパックになっているものが主に使われていますので、携帯に便利で簡単に服用することができます。病院で処方されるものについては健康保険がききますので、値段も高くありません。

診療実績

2017年度の入院の診療実績をお示しします(図1).疾患としては脳血管障害が最多であり,それにめまいが続き,その後にパーキンソン病などの神経変性疾患が続きます.その他にも脳炎・髄膜炎,てんかん,末梢神経障害などの神経内科疾患を中心に幅広く診療しています.
脳梗塞に対する血栓溶解療法(rt-PA静注療法)は,2016年以降は年間10件を超える件数を施行しています.(図2).
脳卒中地域連携パスの使用は2016年6月以降に増加しています.脳卒中後にリハビリテーションが必要な患者さんが,早期から適切なリハビリテーションを受けることができるようになっています.(図3).

図1

図2

図3

診療科・部門

診療時間

初 診:8:30~11:00紹介状が必要です
再 診:8:30~11:30
※診療科によって時間が異なります。

休診日:第2・4・5土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始(12/29~1/3)

〒234-0054 横浜市港南区港南台3-2-10JR京浜東北線(根岸線)港南台駅下車、
横浜方面へ徒歩3分。

交通案内
JR根岸線「港南台駅」より徒歩3分

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